今まで食べてきた中で
一番理想的だと思うシフォンケーキは、
個人で作ったものなら、くみさんの焼くシフォン。
お店で食べるなら、矢掛のカフェ ポン・ムヴァンの。
シフォンケーキは材料も作り方もシンプルなので、
味とか食感の違いは、メレンゲの立て具合とか
生地に加える水分と油の多寡とか
使うオーブンの特性とかで変わってくるもので、
流儀というか信念というか、
作り手がどういうシフォンを目指しているかによって
完成形も全然違ってくると思います。
だからこの度は、「美味しいシフォン」ではなくて、
あくまでも「理想のシフォン」という話で。
ただフワフワとか、ただ柔らかいとかなら
フワフワで柔らかいスポンジケーキでいいわけで、
シフォンケーキと言うからには、
生地の網目に弾力があって、
かつその網目のキメが細かくて、
なおかつ水分量が高くてもちっとしていて、
手でちぎるとシュワシュワッと音がするような、
そういうものであって欲しいと思うわけです。
くみさんのもポン・ムヴァンのも、そういう
もっちりシュワシュワ系のシフォン。
くみさんのシフォンは、くみさんにお願いしないと作ってもらえないけど、
ポンムヴァンのシフォンなら、お店で注文すればいつでも食べることができます。
マダムお手製の柚子シフォンは、開店当初からの看板メニューで、
先日久しぶりに行ったら、なんだかもう貫禄の安定感というか、
矢掛のゆべしに並ぶ、矢掛名物にして欲しいくらいでした。
一体どうやったらこんな理想的シフォンが焼けるのか知りたくて
マダムに聞いてみたら、22cmの型一台に卵白は9個も使っているのだと。
メレンゲは、以前使っていたレディースミキサーが壊れたので
今はメランルージュロボを使っているとのこと。
メランルージュロボ!それがあればじょいフルでも
こんなシフォンが焼けるのかと思ったら、
マダムは「そんな大したことはしてないですよ」と控えめに言いながらも、
「使う卵によって、黄身の色が濃い時は
色がつき過ぎないように黄身の数を減らしている」とか
「その日の湿度とか気温で仕上がりも全然変わってくる」とか
うどん職人のような言葉まで出てきて、
やっぱり同じシフォンを何十何百と焼いてきた人には敵いそうにありません。
くみさんに至っては、「シフォン作るのに砂糖減らしてちゃだめよ」
「メレンゲに使うのは絶対グラニュー糖!」と言われてしまいました。
じょいフルは、子ども向けに極端に砂糖を減らしているし、
しかも何となく甘さが優しそうなてんさい糖…。
自分では理想のシフォンは焼けそうにないので、
くみさんにお願いするか、ポン・ムヴァンまで食べに行こうと思います。