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Channel: じょいフルデイズ
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メリメリと降りてきた

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最後に読み込んだ写真-1


その日はじょいフルの実家に、
年末にフランスとオーストラリアに帰国していたお友達が集まって
お昼に新年会をすることになっていて、
じょいフルも午前中から実家に移動して
お料理の用意をしていました。
12時半にお客さんが集合して、
鮭のちらし寿司と、五目鍋と、牛すじのおでんと、
鶏と野菜のカレー蒸しが揃いました。

みんなで乾杯をしている頃
何となくお腹が痛い感じがしたので、
ああこれは今日辺り生まれるんだなと思っていました。
みんなでお昼をワイワイと食べて、お皿を下げて洗っている頃には
もう時々、あの覚えのある「いてて…」という感じになってきたので、
デザートを食べ損ねては心残りだわと、
クリステルが持って来てくれたガレット・デ・ロワを大急ぎで切りました。
リンスケに、お母さんは病院に行ってくるけど
赤ちゃんが産まれそうになったら呼んであげるから後で来てねと話すと、
自分も一緒に行くと半べそで言うので、
ブリちゃんとリンスケと3人で病院に向かいました。
向かいました、と言っても、車で5分の近所なので、
車の中から病院に「陣痛みたいなので今から行きます」と電話をしたら
「経産婦さんですか?」「いま何分間隔ですか?」とか聞かれてるうちに
病院に着きました。
ブリちゃんが「2時間(で生まれる)かな」と笑いながら
スマホのストップウォッチで時間を測り始めて、
じょいフルもこの時は、まぁそんなもんかなと思っていました。
車椅子で陣痛室に連れて行かれているうちにも痛みが強くなってきて、
陣痛室のベッドでモニターを着けられて、
看護婦さんが「痛みがグッと来るようになったらすぐ呼んでください」と出て行った直後に
もう痛みがグッと来て、何かがメリメリと降りてきた感じがしました。
戻って来た看護婦さんが、もの凄い手際のよさで分娩室に運んでくれて、
分娩台に上がったかと思ったら、あっという間に赤ちゃんが出てきました。
ブリちゃんの計測では、病院に来てから15分の出来事でした。

半べそのおかげで無事に立ち会うことが出来たリンスケは、
初めて出産の一部始終を目の当たりにして
妙なテンションながら、やっぱりちょっと戸惑っているみたいで、
なかなか赤ちゃんに近付こうとせずに
分娩室の器械を眺めたりウロウロしたりしていましたが、
後で感想を聞いたら、「赤ちゃんベショベショじゃった」
「へその緒って青色なんじゃ」と言っていたので、
意外に冷静によく見ていたみたいです。
じょいママは、小さい子どもにお産なんか見せて大丈夫なのと心配してたけど、
じょいフルとしては、まぁ牧場で牛の出産を見るのと同じことだし、
自然体験の一つと思えばいいんじゃないかと思っていました。
リンスケなりに咀嚼して、生命の営みの一部を理解してくれたらと思います。


夕方、新年会の続きを延々していたじょいママが
ようやく病室にやって来て、
まぁ早いにも程がある、とでも言いたげな、半笑いの呆れ顔でした。
お見舞いに来てくれたお友達も、ブリちゃんの両親も、
メールで経過を報告した人たちも、
「早かったねー」「さすがだねー」「じょいちゃんらしいねー」と、
びっくりとかおめでとうを通り越して、
何となく失笑を買っているかのような。

とにかく今回もそんな風に、赤ちゃんは勢いよく産まれました。
みんなは「ツルンと」とか「スルッと」とか言うけど、
あれはツルンと出てきたなんてもんじゃありません。
メリメリ、バリバリと、赤ちゃんが降りてきたのです。








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